俺は、平日限定の“試写室バイト”をしている。
仕事内容はシンプルで、個室ビデオ店の清掃。客が帰ったあとの部屋に入って、ゴミ箱を空にして、シートを拭いて、備品を補充して、また次の客を迎える。たったそれだけ。だけど、この仕事を始めてから、俺には“ある趣味”ができた。
――女の人の部屋だけを選んで清掃に入る。そして、オナニーに使ったティッシュを集めること。
初めて意識したのは、女性専用フロアが増えてきた頃だった。
あるとき、40代くらいの女性が入った部屋の清掃に入ったときのこと。ゴミ箱の中にくしゃくしゃのティッシュが5〜6枚。そのうち数枚は、乾きかけてて、先の方が硬くなってた。
普通の鼻かみじゃない。真ん中がぬめっとしてて、独特の香りが残ってた。生っぽくて、甘くて、ちょっと酸っぱい、あの“女の匂い”。
「……まさか、ここで……?」
その瞬間から、俺はそのティッシュを捨てるふりをして、ポケットにそっと忍ばせるようになった。
バレないように、すばやく。1枚ずつ、乾いていないものだけ。
それ以来、俺は女客の来店履歴と、退出時間をチェックするようになった。年齢層、滞在時間、AVのジャンル――いろいろ見てると、どの客が“してる”か、なんとなく分かるようになってきた。
たとえば、20分で出る女はまずしない。1時間以上滞在する、静かなタイプの30〜40代女性、しかもレジでAVを選ぶタイプは高確率で“抜いてる”。
そういう人が出た直後の個室に、俺はすぐ入る。
その日も、40代半ばくらいの女性が1時間半で退出したあと、俺はその個室に滑り込んだ。
ドアを閉めて、鍵をかける。
ゴミ箱をのぞくと、ティッシュが9枚。
中でも一番下にある2枚は、端がじっとり濡れてて、紙がふやけてた。
「……やっぱり、やってたな」
そっと持ち上げて、鼻に近づける。
ほんのり、匂いがする。下着の奥に顔を埋めたときのような、甘くてくすぐったい、生々しい香り。AVを見ながら指を動かして、イッたあとの名残。
想像する。彼女がスカートをまくり上げて、パンティーをずらして、指を膣に差し込んで、じゅぷじゅぷ音を立ててるところ。小さな声で「あっ、んっ……」って漏らしながら、震える手でこのティッシュを取って、自分の膣をぬぐって――
俺はそのまま、腰を浮かせてズボンを下ろした。
ポケットからいつも持ち歩いてる小さなビニール袋を出して、ティッシュを中に入れる。
「やっぱ、この瞬間が一番興奮する……」
ティッシュに残った愛液の匂いと温度。それだけで勃起して、我慢できなくなる。
そのまま、他の部屋のチェックを装ってトイレに駆け込んだ。
個室に入って鍵をかけて、ズボンを下ろし、さっきのティッシュを鼻に押し当てながら、片手で扱く。
「ん……はぁ……これ、絶対中で出てる匂いだ……」
息を吸うたびに、女の体の奥から出た香りが肺に入ってくる。
あのAVの画面を見ながら、どんな体勢で、どんな顔でオナニーしてたんだろう。
どんな表情で、どんな指の動きで、自分の膣をかき混ぜてたんだろう。
想像が止まらない。
ティッシュ越しに舌を出して、ほんの少し湿ってるところを舐めた。紙の味の奥に、ほんのりしょっぱくて、酸っぱい味がした。
「……やばっ……イク……」
ティッシュを鼻に押し付けたまま、トイレットペーパーを手に取りながら、腰を前後に動かす。
最後は一気に射精して、真っ白になる。
今ではもう、コレクション用の密閉パックが家に十数枚ある。日付とメモ付きで、「40代/ロング滞在/黒スカート/ゴミ9枚」なんて記録までつけてる。
完全に変態だって自覚してる。でもやめられない。
女の人がオナニーに使った、ぬるっと濡れたティッシュ。
そこにしかない、生の匂いと証拠。
それが俺の性癖だ。