セックスレスの夜、隣で眠る彼にバレないように、私は静かに膣奥までバイブを挿れた。

今日も、誘えなかった。

「眠い」って、シャワーのあと、彼はすぐ布団に入った。
時計を見たら、22時47分。まだ寝るには早いのに。
でも、もう何度目だろう。数えなくなった時点で、あたしはもう諦めてたのかもしれない。

セックスレス。
まだ28歳なのに。身体が求めてるのに。
触れてほしい、奥まで入れてほしいって、思ってるのに。

でも、言えない。

「なんかエロいね」とか「今日、しない?」とか、そんな軽い一言で崩れてしまいそうな関係が怖くて、
いつの間にかあたしは、“言わない側”になってた。

代わりに、手にしたのが──この、バイブ。

小さくて、静かで、深くまで届くやつ。
ネットで評価を調べまくって、音がしないってレビューを見て買ったやつ。
彼が寝てる時に、そっと使うための、“秘密の彼氏”。

今夜も、ベッドの脇にある引き出しから、そっと取り出す。
音がしないように、あらかじめローションはポーチに入れておいた。
下着は、昼間ずっと穿いてた、ピンクのショーツ。
クロッチ部分が、少しだけ湿ってるのがわかる。

あたし、変態かもしれない。
自分の匂いがついたショーツで、興奮してる。
それを穿いたまま、バイブを押し当てて、じんわりと温める。
彼が寝返りを打つ音がした。びくって、身体が跳ねた。

──ばれてない。たぶん。

手は止めない。
ショーツの上から、クリのあたりをバイブで押して、震えさせる。
あ、って、喉の奥が鳴るのを抑える。
呼吸だけが、荒くなる。

下着をずらして、ローションを指にとって、入口に塗る。
そっと、挿れる。

「っ……あ……」

声が出そうになるのを、唇を噛んで止める。
深く、もっと、奥まで。
膣の奥に届いた瞬間、ぞわっと背筋が震えた。
そのまま、少しだけ抜いて、また挿れて。
ゆっくり、ゆっくり。音を出さないように。

彼の寝息が聞こえる。
その横で、あたしは脚を広げて、
膣奥を、機械の振動で掻き乱している。
誰にも見せられない姿。
誰にも言えない、快楽。

でも、止められない。
あたしは──“これ”でしか、感じられなくなってる。

腰を小刻みに動かす。
中のバイブが、奥の壁にあたるたび、熱くなる。
ローションが溢れてきて、シーツに滲んでいくのがわかる。
それでも、止めない。

「はっ……くっ……」
声が、漏れそうになるたび、手を口に当てる。
何やってるの、って頭では思うのに、
膣の中が、指よりも太い異物を歓迎してて、
もう、止められない。

「いっ……ちゃ、う……」

声は出さなかった。
でも、身体が、震えてた。
手足がこわばって、喉がひゅって鳴って、
目の奥が、熱くなった。

達したあと、しばらく動けなかった。
バイブがまだ中にあるまま、横を見たら──
彼は、変わらず眠っていた。

でも。
その寝顔に、ちょっとだけ罪悪感を覚えた。
「ごめんね」って、心の中でつぶやく。

だけど、きっとまた、明日も使う。
だって、身体が欲しがってるから。

セックスしない彼より、
バイブのほうが、あたしのこと、分かってくれてる気がする。

……それって、やっぱり変かな。