酒と、汗と、ぐちゃぐちゃに混ざり合った誰かの匂い
正直、二次会のバーを出たあとのことは、モザイクがかかったみたいに断片的。 覚えているのは、タクシーのシートの革の匂いと、隣に座る男の、お酒と混ざり合った重たい体臭。 「送りますよ」 その低い声が鼓膜に触れるたび、私のおま … 続きを読む
正直、二次会のバーを出たあとのことは、モザイクがかかったみたいに断片的。 覚えているのは、タクシーのシートの革の匂いと、隣に座る男の、お酒と混ざり合った重たい体臭。 「送りますよ」 その低い声が鼓膜に触れるたび、私のおま … 続きを読む
本当に、ただ洗濯物を畳んで、彼の部屋の棚にしまおうとしただけだった。 日曜日の午後。家の中はやけに静かで、一階でテレビを見ている夫の笑い声だけが遠くに聞こえる。 ノックもしなかった私が悪い。 「……マサキ、これ、置いとく … 続きを読む
……結局、今夜も帰る場所はここしかない。 駅前のネットカフェ、鍵付き個室の302号室。タバコのヤニと芳香剤が混ざったような、あの独特の澱んだ空気。 スマホの画面に通知が飛ぶ。掲示板でやり取りしていた「客」からの、合流の合 … 続きを読む
あれは大学の帰り道、駅ビルのトイレに立ち寄ったときだった。 時間は夕方、ちょうど通勤ラッシュにかぶる前のタイミング。男子トイレは空いてたけど、個室を選んでドアを閉めた。 ふと、目に入ったのが床に落ちていた白い包み。 ナプ … 続きを読む