郊外の住宅街にある、ごく普通の産婦人科クリニック。
内装も清潔で明るく、看護師も若くて笑顔を絶やさない。
だがこの場所で、誰にも知られず、静かに行われている行為があった。
——“挿れずに、出す”。
主人公である俺は、この産婦人科で15年以上勤めるベテラン医師。
患者からの信頼も厚く、年配の婦人から若い妊活中の女性まで、予約は常にいっぱいだ。
だが、誰も知らない。
俺が毎週1〜2人の割合で、診察台の上の女性に、自分の精液を膣内に“直接注いで”いることを。
「膣洗浄の処置、始めますね」
そう言いながら、俺は専用の洗浄用カテーテルに見せかけた極細の注入器を取り出す。
もちろん、先端にはあらかじめ“俺の精液”が充填されている。
患者は安心しきった表情で、脚を開いている。
すでに膣内は診察の準備で洗浄済。無臭で透明なゼリーが塗布されている。
その奥に、俺はそっと……触れずに、注ぐ。
「少しヒヤッとしますよ」
——ちゅっ、くちゅ……
音もなく、俺の精液が、彼女の膣口にゆっくりと流れ込む。
熱くもなく、冷たくもない、ただぬるりとした感触。
本人は“薬液”と思っている。だがそれは、確かに俺の放ったものだ。
「あとは5分ほどそのままでお休みください」
彼女は微笑んで頷く。
その膣内には、俺の痕跡が、静かにとどまっている。
——そう、俺は“挿れない”。
だからこそ、バレない。疑われない。だが……確実に“中”に出しているのだ。
診察室の外には、次の予約患者が待っている。
その脚の奥にも、俺は静かに、自分の存在を流し込むつもりだ。
——その日、二人目に来たのは、婚約を控えた28歳の女性だった。
「ブライダルチェックで、念のため洗浄もお願いできますか?」
柔らかく微笑む彼女は、紺色のワンピースをまくりあげ、ショーツを抜き取って台に横たわった。
脚を固定器に乗せて開くと、膣口が自然と露わになる。
「はい、洗浄前に軽く診察しますね」
そう告げながら、俺は指一本触れることなく、注入器を手に取った。
今回の容器には、先ほど絞ったしぼりたての濃密な精液を仕込んでいる。
——ちゅっ……ちゅる、くちゅ……
「んっ……ちょっと、ぬるっとしますね……」
彼女の声に、俺は微笑を返すだけだった。
数滴ずつ、彼女の膣の入口から奥へと、自分の粘ついた白濁を流し込んでいく。
注射器のプランジャーを押す手に力がこもる。
「はい、滞留させるために、しばらくこのままで」
彼女は疑いもせず、膣内に俺の精液を抱えたまま、無防備な姿で目を閉じる。
その姿を見下ろしながら、俺の下腹部は疼いて仕方なかった。
——“挿れたい”という衝動はもう越えた。
俺が求めるのは、“証拠だけを置いて立ち去る”ことだ。
——
三人目は、妊活をしているという30代後半の女性。
「洗浄した後、人工授精はいつ頃……?」
「状態を見て判断しますね」
質問には丁寧に答えながら、俺はまた、洗浄器のフリをした注入器を膣口へと近づける。
「少しだけ、洗浄液を入れます……」
くちゅ……くちゅっ……ぴゅ……
——中で広がる感触に、彼女が一瞬息を飲む。
「……あれ、これって………?」
「専用の膣内保護液ですよ。生理食塩水に近いものです」
嘘は、慣れていた。
だが、俺の射精は“本物”だった。脈打つたび、先端から噴き出した精液が、彼女の内部で壁に絡みついていくのがわかる。
「ありがとうございました。じゃ、次の周期でまた……」
彼女は微笑みながら立ち去る。
俺は白衣の内側で、自分の行為を思い返しながら、次の予約を確認した。
——まだあと4人。
今日だけで、俺の精液は7人の膣内に静かに注がれていく。
——挿れてはいない。ただ、流し込むだけだ。
それだけで、十分興奮できるし、何より……“安全”だ。
俺の名前が妊娠記録に載ることも、裁かれることも、絶対にない。
だが、誰かが気づく日が来たら——それはそれで、少し楽しみでもあった。
「さて……次の患者さん、どうぞ」
——数週間後。
クリニックの受付に、ある女性が再び現れた。
先日、ブライダルチェックのついでに“膣洗浄”を受けた28歳の彼女だった。
「あの……検査で、妊娠反応が出てしまって…………」
小声で戸惑う彼女に、俺は冷静を装って頷いた。
「念のため、もう一度こちらで確認しましょう」
診察室に通し、検査キットを手渡す。
数分後——陽性。
「……間違いないですね。妊娠反応、強く出てます」
彼女はコンドームをしていたらしく妊娠しないと思っていたらしい。
「おかしい……コンドームをしていたのに…やっぱり確実じゃないんですね…」
だが俺は知っている。
彼女の子宮に、一滴も残さず、俺の濃い白濁を“注ぎ込んだ”ことを。
——
それから、週を追うごとに“おかしな妊娠”の相談が増えた。
妊活中の夫婦のうち、タイミングを合わせていないはずの妻が陽性となった例。
恋人と避妊していたはずの学生まで。
そのどれもが、俺が“洗浄”した女性たちだった。
——妊娠させた実感はない。挿入すらしていない。
それでも、彼女たちの子宮の奥には、確実に“俺の痕跡”が残ったのだ。
誰にも悟られず、孕ませていく。
自覚のないまま俺の子を身ごもる——その背徳が、俺の性欲を強く刺激していた。
「……もし生まれた子が、俺に似てたらどうするんだろうな」
俺はそう呟きながら、次の“洗浄予約”を確認した。
——次は、双子妊娠の兆候を訴える人妻だ。
