おむつの中に詰まってたのは、尿じゃなかった
あれが尿じゃないことに気づいた瞬間、思考が一回止まった。 夜勤明け前の静かな時間帯だった。午前4時。廊下の照明は間引かれ、ナースステーションも仮眠体制。巡回ついでに、Aさんのシーツ交換に入った。 Aさんは83歳。言葉は少 … 続きを読む
あれが尿じゃないことに気づいた瞬間、思考が一回止まった。 夜勤明け前の静かな時間帯だった。午前4時。廊下の照明は間引かれ、ナースステーションも仮眠体制。巡回ついでに、Aさんのシーツ交換に入った。 Aさんは83歳。言葉は少 … 続きを読む
「今日……帰りたくない」彼女がそう言ったのは、終電がもうすぐ終わる頃だった。目元の赤いアイシャドウは少し崩れて、香水の甘ったるい匂いが少し強く感じる。小柄な身体を俺の腕に絡ませて、上目遣いで見つめてくるその顔は──どこか … 続きを読む
「……ほんとに、いいの?」 彼の声が震えていたのを、私は覚えてる。でも私の指先は、彼の手をそっと引いて──自分の下腹部へと導いていた。 「壊して……もう、戻れないくらい……」 そう言ったのは、私だった。はじめてを奪われた … 続きを読む
マンションの管理人さん――子供の頃から挨拶くらいはしていたけど、大人になって初めて、その人を“女”として意識するとは思わなかった。 大学に入って一人暮らしを始めた夏、母が「何かあったらすぐ管理人さんに頼るのよ」としつこく … 続きを読む
私は、ごく普通の主婦だった。平日はパート、週末は家族のご飯と洗濯。お金がないから、安いスーパーで特売品を狙い、一円でも節約して暮らしてきた。 でも、「足りない」「間に合わない」そればかりが頭の中で繰り返される毎日だった。 … 続きを読む
私は、誰にも言えない癖がある。「オナニーをすると、たまに気絶する」。たぶん、変態だと思う。でも、やめられない。最初は普通だった。ただクリトリスを指で擦って、あっという間にイッて、それで満足していた。でも、ある日を境に、“ … 続きを読む
私は、最初からこの世界にいたわけじゃない。「セックスで、お金をもらう」――それはずっと他人事だった。でも、自分の身体で、“知らない男の人”と交わるたび、だんだん、現実の輪郭が変わっていった。 今日のお客さんは、三十代後半 … 続きを読む
「送ってくれるだけでいいよ」って言ったのに、彼は部屋まで上がってきた。 理由は簡単。雨が強くて、玄関先で濡れたまま立っているのも変だったから。 でも、それだけじゃない。わかってた。わたしも、彼も。 だってこの人は、親友 … 続きを読む
地方の駅前。イベント会場の搬出口から、人とケースが引いていく。22時過ぎ。湿った風。荷台の金具がぶつかる音が続く。私はスタッフ証を首から外して、胸ポケットに入れる。手の甲に黒いインクが少しついている。ステージ裏でタイムコ … 続きを読む
土曜の夕方、彼女のアイコンから通話が鳴った。画面の上に「今、家?」とテキスト。私は「外。近い」と返した。ほんとは家にいたけれど、玄関の靴を履きながら階段を降りた。空は薄い雲で、湿度が高い。彼女の住むマンションまで徒歩で十 … 続きを読む
雨が夕方から降り続いて、親友の家の玄関には濡れた折り畳み傘が二本立てかけてあった。親友の涼は会社の飲み会で遅くなると言っていたから、置いていった外付けHDDを取りに寄って、すぐ帰るつもりだった。 「上がって。お茶くらい出 … 続きを読む
夜、廊下は薄暗く、壁に掛けた時計の秒針の音だけが響いていた。義妹の部屋のドアが、ほんの数センチだけ開いている。覗いた瞬間、視覚が制服のスカートと、その上に無造作に置かれたショーツを捉えた。淡い色の布地、クロッチ部分だけ色 … 続きを読む
20歳の大学生。実家暮らし。外では真面目って言われるタイプ。でも、夜になると私は、妄想の中で“近所中の男たちに抱かれている”。 おじいちゃんですら、オカズにしてしまった夜がある。 最初は、隣の奥さんの旦那だった。毎朝ゴミ … 続きを読む
久しぶりに帰省した実家の匂いは、昔と何ひとつ変わっていなかった。 畳の匂い。押し入れの湿った空気。母の柔軟剤の香り。それが妙に落ち着く反面、私の身体はずっとそわそわしていた。 45歳になった今でも、私は自分の性癖を誰にも … 続きを読む
「ちょっとトイレ行ってくるねー!」 そう言って出ていった友達の背中を見送って、私はドアの方をちらっと見た。閉まったドア。個室のカラオケボックス。モニターからはBGMだけが流れてる。 残されたのは、私ひとり。 「……っ」 … 続きを読む
「奥さん、あれ今日も持ってきてるの?」 出社してすぐ、彼にだけ聞こえるようにそう囁かれた。私は小さく笑って頷いた。誰にも気づかれないように、机の下で太ももを閉じたまま。 「バイブ、挿れてるの?」 ――そう聞かれた瞬間、指 … 続きを読む
「……なあ、それ、今日履いてたやつ?」 仕事帰りの電車を降りて、駅前の駐車場で車に乗り込んだ直後だった。助手席に座った私の膝の上には、折りたたんだ洗濯物の袋。実家から持ってきた私物を、たまたま彼に頼んで車で送ってもらった … 続きを読む
実家の居間で、一人で毛布にくるまって寝ていた。いや、正確には──寝たふりをしていた。 だって、来るってわかってたから。あの人は、夜遅くなると、必ず様子を見に来る。静かに足音を忍ばせて、気配だけを残す。 そして──わたしの … 続きを読む