久しぶりに帰省した実家の匂いは、昔と何ひとつ変わっていなかった。
畳の匂い。押し入れの湿った空気。母の柔軟剤の香り。
それが妙に落ち着く反面、私の身体はずっとそわそわしていた。
45歳になった今でも、私は自分の性癖を誰にも言えずにいた。
匂いフェチ。とくに、自分の使った下着の匂いで興奮する。
旦那にはとっくに飽きられて、触れられることもなくなって、私は“独り”に慣れてしまっていた。
でも、実家に帰ってきた夜、私はその感覚を抑えきれなくなっていた。
深夜2時。
母の寝息が襖の向こうから聞こえる。
私は自室の布団の中で、タンスから取り出した“昼間に履いていたパンティー”を手に取った。
「……あ、だめ、もう……におい、だけで……」
自分の匂いなのに、鼻を近づけるだけで膣が反応する。
濡れていた。
もう、とっくに、我慢できないほどに。
右手でパンティーを握りしめながら、左手の指をショーツの中に滑り込ませる。
「あっ……く……ぅ……っ、ん……」
布団をかぶって、小さく喘ぐ。
でも、耳の奥ではずっと“襖の向こう”の気配を感じていた。
「……お願い、バレないで……」
でも、それが逆に興奮を煽る。
鼻にパンティーの匂いを詰めたまま、指で膣口をなぞり続ける。
そして、そのまま、じゅぷっ、と音が鳴るほど強く挿した。
「っっ、う……っ!」
腰が跳ねた。
震える。息が止まる。
でも止められない。止まりたくなかった。
「……見てほしかったの、かも」
誰に? 母に?
違う。でも、“誰か”に見つかりたかった。
変態で、ひとりで、パンティーの匂いでイってしまう自分を、否定しない誰かに。
「あっ、も、だめ……っ、んっ、いく……!」
その瞬間。
――「あんた、なにしてんの……?」
襖の向こうで、母の声がした。
凍りついた。
でも、私は指を止められなかった。
達してしまった。
「ごめんなさい……ママ……」
でも、涙じゃなかった。
絶頂と、許されたい気持ちが混ざった液が、私の太ももを伝っていた。