本当に、ただ洗濯物を畳んで、彼の部屋の棚にしまおうとしただけだった。
日曜日の午後。家の中はやけに静かで、一階でテレビを見ている夫の笑い声だけが遠くに聞こえる。 ノックもしなかった私が悪い。 「……マサキ、これ、置いとくわね」 そう言ってドアを開けた瞬間、私の言葉は喉の奥に張り付いて、凍りついた。
デスクの椅子に座ったまま、ズボンを膝まで下ろして、自分のそこを握りしめている息子の姿。
「……っ!?」
彼の目と、私の目が合った。 数秒、いや、永遠に感じるような沈黙。 その短い時間の間に、彼の右手がビクッと跳ねて、握られた先端から、白くて不透明な液が、机の上や彼の太ももにドクドクと勢いよく噴き出した。
「あ、……っ、……」
息子の、情けないほど掠れた吐息。 空気が止まったような部屋の中に、彼が射精した瞬間の、ドロリとした重たい液が皮膚に当たる、生々しい音だけが響いた。 「じゅぷ、……っ、……」 粘膜と精液が混ざり合って、彼の指の間から溢れ出す、あの水っぽい音。 それまで「子供」だと思っていた彼の、男としての剥き出しの生理現象が、西日の差し込む部屋にさらけ出された。
「……ごめんなさい」
私はそれだけを絞り出して、逃げるようにドアを閉めた。 心臓がバクバクといって、耳の奥で自分の血の音がうるさい。 廊下に出た瞬間、ドアの隙間から漏れ出してきた、あの独特の、栗の花のような生臭い精液の匂い。 それが私の鼻腔を突いて、めまいがした。
「……っ、はぁ、……っ、……」
自分の部屋に駆け込んで、ベッドに倒れ込む。 頭の中から、さっきの光景が離れない。 真っ赤な顔をして固まった息子の顔。必死に隠そうとした、まだ脈打っている彼のそこ。 そして、床にポタポタと滴り落ちていた、あの熱そうな白い液の塊。
気づくと、私の下腹部がじわじわと熱を持っていた。 母親として、見てはいけないものを見てしまったという罪悪感。 でも、それ以上に、あんなに生々しい「男」の放出を目の当たりにした興奮が、理性を上書きしていく。
私は自分のスカートの中に手を滑り込ませた。 「くちゅ、……っ、……」 指先が、驚くほど一瞬でヌルッとした愛液に触れた。 息子のあの精液の匂いを思い出すたびに、中がぎりぎりと締め付けられて、熱い液が溢れ出してくる。 「あ、……っ、……っ!」 指を二本入れて、自分の粘膜を激しくかき回す。 「ぐちょ、っ、……っ!」 自分の指が、自分の内側をズリズリと擦り上げる音。 さっき、ドアの向こうで息子が立てていたのと同じ、卑猥な摩擦音。
……終わった後の、あの異様な虚脱感。
指に絡みつく、白く濁った糸を引いた自分の液。 それをティッシュで拭き取るとき、さっきの部屋の匂いと、自分の匂いが混ざり合って、吐き気がするほどの背徳感に襲われた。
夕食のテーブル。 息子は俯いたまま、一言も喋らない。 私も、彼と目を合わせることができない。 でも、食卓に並んだ料理の匂いの裏側で、まだ鼻の奥に残っているあの生臭い匂いと、下着の中に残る冷めていく湿り気が、私と彼の間に、二度と消えない境界線を引いていた。
これが、あの日から始まった、母としての私を壊してしまった午後の告白。