家では、できない。
6人家族。部屋はひとつ。カーテンで区切っただけのスペース。
隣には妹、その向こうには兄。母も父も夜遅くまで起きてて、
……あたしの“時間”なんて、どこにもない。
バイブもローターも持ってない。
ていうか、買っても家じゃ使えない。
だから、あたしの自慰は、いつも“外”だった。
今日も、こっそり出てきた。
駅の女子トイレ。深夜0時過ぎ。
最終電車が終わって、利用者がほとんどいない時間帯。
でも、真っ暗なわけじゃない。
掃除の音や、たまに酔っ払いの声が聞こえる。
ドキドキしながら、個室に入る。
バッグの中から、ポケットティッシュと小さなローションの試供品を取り出す。
鍵を閉めて、便座に座る。
ジーンズを下ろして、ショーツを少しだけずらす。
息を整えてから、指を、そっと濡らす。
……冷たい。
でも、興奮してるのが、自分でもわかる。
息が浅くて、足が震えてる。
指先で、クリを触る。
「んっ……」って、小さく喉が鳴った。
壁、薄いかもしれないって思うと、余計に感じてしまう。
指をちょっと奥に入れる。
ぬるって、すぐに入る。
今日一日、何もしてなかったのに、準備できてた。
自分の身体のいやらしさに、ちょっとだけ涙が出そうになる。
でも、指は止まらない。
膣の奥に触れた瞬間、膝がびくって震える。
「……あ……やばい……」
声を漏らしたくないのに、出そうになる。
唇を噛んで、息を殺す。
でも、もっと奥まで突きたい。
足を広げて、もう一本、入れる。
壁に手をついて、腰を前後に動かす。
……音が、する。
水の音。指を動かすたび、くちゅっ、って。
トイレの個室の中で、あたし、指を突っ込んで、
足を震わせてる。
「お願い……ばれないで……でも……誰か、来て……」
そんな矛盾したことを、心の中で繰り返す。
誰かに見つかりたいのかもしれない。
こんな変態な自分を、知ってほしいのかもしれない。
「っ……あっ……いく……いっ……ちゃう……」
喉の奥で小さく喘ぎながら、
震えた足で、便座にしがみつくようにして、絶頂した。
しばらく、動けなかった。
時計を見たら、もう15分も経ってた。
膝ががくがくしてて、指が濡れてて、ショーツまで濡れてた。
トイレットペーパーで拭いて、ローションの袋を結んで、
服を整えて、出た。
誰にも会わなかった。
でも、出た瞬間、風が冷たくて、
あたしはまだ火照ってた。
家に帰ったら、きっと、また普通の顔。
いつもの、静かな“いい子”。
でも本当は、
駅のトイレでオナニーしてるような、
変態な女なんだよ、あたし。