私は19歳の大学生。
人からは「清楚そうだね」とか「真面目そう」とか言われることが多くて、自分でもそれを崩すのが怖かった。
恋愛もまだ未経験で、もちろん身体の関係もない。
処女であることを誇ってるわけじゃないけれど、なんとなく、そのままにしていた。
けれど──
一人暮らしを始めた春のある日、ふとしたきっかけで、“大人のおもちゃ”を検索した。
YouTubeのおすすめ動画に紛れて出てきたレビュー動画。
ふざけ半分、興味半分で観てみたら、なんだか胸がざわついて、それが頭から離れなくなった。
数日後、私は小さな箱を受け取った。
Amazonの無地のダンボール。中には、シンプルなピンク色のバイブと、ローターが入っていた。
手のひらに乗るくらいの大きさ。思っていたよりも可愛らしくて、どこか安心した。
夜、シャワーを浴びてから、私はベッドの上でそっとそれを手に取った。
ほんの少し緊張していた。だけど、ずっと前から胸の奥で何かが疼いていたのも確かだった。
下着を脱ぐと、ふわっと冷たい空気が脚のあいだに流れ込んできて、身体がこわばる。
鏡で自分の姿をちらりと見て、赤くなって、慌てて視線をそらした。
バイブのスイッチを入れると、かすかに「ブゥ……」と低く響く音がして、手の中で微かに震えた。
その振動が、どこか生き物のようで、怖くもあり、でも同時にワクワクもした。
最初は、太ももの内側に当ててみる。
ふるえる感触に、思わずびくっと脚がすくんだ。
次に、お腹のあたり。少しずつ、少しずつ、中心へと近づけていく。
触れた瞬間、身体が軽く跳ねた。
初めての感覚。どこかむずがゆくて、でも、嫌じゃない。というより、もっと……触れていたくなる。
ゆっくりと、ローターの先をあててみると、小さな波が全身をじんわりと伝っていった。
息が浅くなって、喉の奥で「ん……」と抑えきれない音が漏れた。
まだ、挿れることはできなかった。
やっぱり怖くて、そこまでの勇気はなかった。
でも、ただ外からの刺激だけで、自分の身体がこんなにも熱くなるんだってことに、心から驚いた。
いつもは無意識に過ごしている場所が、こんなにも敏感で、繊細で、そして奥深いんだと、自分で自分を見つめるような感覚。
10分ほどの間に、私は何度も深い呼吸をして、何度も肩を震わせていた。
終わったあとは、指先が少し震えていた。
えっちなお汁がいっぱいついたバイブをティッシュで拭いて、箱に戻すとき、私は小さく笑ってしまった。
こんなにすごいのに、誰にも見せられないなんて──それが少しだけ、愛しく感じた。
それからというもの、私は週に何度かバイブとローターを使ってオナニーするようになった。
まだ誰にもあげていない身体。
だけど、こうして、自分でゆっくり知っていくことで、少しずつ、大人になっている気がする。