夫にだけ見せる私。

あの夜のことを思い出すと、どうしても呼吸が浅くなる。火照った肌、乱れた吐息、そして、あなたの名前を呼んだときの、自分の声の震え。

私は結愛。30代になって少し丸みを帯びた身体が、あなたは好きだと言ってくれるけど、自分では少し恥ずかしくて、鏡の前では目を逸らしてしまう。でも、あなたの前では──いや、あなたに触れられるときだけは、不思議と自分の体を愛しく思えるの。

私たちは夫婦。でも“営み”が日常のひとつではなく、今もどこか、背徳めいた熱を孕んでいるのが嬉しくて。

その夜も、あなたは仕事から遅く帰ってきて、私はお風呂から出たばかりの濡れた髪をバスタオルで拭いていた。寝室の明かりはつけなかった。ただ、窓の外から差し込む街灯の明かりだけが、私の輪郭を照らしていた。

「……結愛、こっち来て」
その声だけで、身体の奥がぴくりと疼くのがわかった。普段より少し低く、命令口調に近いあなたの声──それが好き。

私は何も言わずにベッドに腰掛けると、あなたが私の頬をそっと撫でた。その手はいつもより熱くて、私は唇を噛みながら目を閉じた。

「触れていい?」なんて、もう聞かないのね。ううん、聞かれなくていい。だって、私の身体はあなたのもの──そう思えるから。

あなたの手が、肩から胸元へと滑っていく。その指先に沿って、タオルの結び目が解けて、ふわりと床に落ちた。

「……あ、だめ……まだ、恥ずかしいの……」
そう呟いたのに、私の胸はすでに張っていて、乳首が冷たい空気にピンと立っていた。

あなたの指が、そっと乳首に触れる。ちゅっ、と音を立てて吸われた瞬間、私は「あっ……んんっ……」と情けない声を漏らしてしまった。

左の乳房が吸われ、右は指先で転がされる。そのたびに、腰の奥がきゅぅっと収縮する。

「んっ、や……そんな……あっ、やだ、そこ……敏感なの……っ」
耳元で囁かれながら、舌で転がされる乳首。自分の吐息が熱くて、恥ずかしくて、でもやめてほしくない──そんな矛盾が、私をどんどん濡らしていく。

気づいたときには、太ももがぬるりと湿っていた。あなたの指がそこに滑り込み、ぐちゅ、と音を立てた瞬間──

「うあっ……あ……だめぇっ……っ」
ベッドの軋みが、私の喘ぎと重なって、部屋に淫靡なリズムを刻んでいく。

あなたの指先がクリトリスをなぞりながら、小さく円を描く。触れられるたびに、身体が勝手に反応して、膣がひくひくと収縮するのが自分でもわかる。

「もう……無理……はやく、欲しいの……」
震える声でそう懇願した瞬間、あなたが私の脚を開いて、自らのものを押し当ててきた。

「いくよ、結愛……」
その言葉とともに、熱が私の中に押し込まれてくる。ゆっくり、でも逃げられない強さで、私の内側を割って進んでくる。

「ん……っ、ふぅ、あっ……すごい、きてる……」
入ってきた瞬間の充満感に、背中がぞくぞくっと震えた。奥まで届いて、そしてまた浅く引き抜かれて、何度も、何度も。

正常位のまま、あなたが私の脚を抱えて深く突き上げるたびに、「んっ……そこ、だめ、あっ……イクっ……!」と、口から言葉にならない叫びが漏れてしまう。

「もっと……壊して……あなたの、奥まで……っ」
涙混じりにそう呟いた瞬間、私の中でなにかが弾けて、白い光のような快感が視界を覆った。

「い、いくっ……いっちゃう……いっちゃうぅうっ……!」
お腹の奥が何度も痙攣して、あなたの熱がそこに重なって──私たちは同時に絶頂した。

ぴゅるっ、どぷっ……と音がして、中がいっぱいに満たされる感覚。

「……結愛、いっぱい出たね……」
「うん……でも、もっとして……もっと、あなたで満たして……」

私の身体は、まだあなたを求めてる。汗と愛液と精液でぐちゃぐちゃになったシーツの上で、私はあなたにしがみついた。

きっとまた、同じように求め合う。あなたが私を忘れないかぎり──

「壊されても、いい。あなたのものになれるなら」

──これが、私たち夫婦の営みの、ほんの一夜の記憶。