介護士の私の日常

正直、最初はただの仕事だった。 でも、深夜の特養(特別養護老人ホーム)っていうのは、昼間の穏やかな空気とは全然違う。死の気配と、それにあらがうような生臭い欲望が、湿った廊下にずっと溜まっている感じ。

402号室の佐藤さん(仮名)は、昼間は車椅子に座って、ぼんやり窓の外を見てるだけのおじいちゃんだ。 でも、夜中に二人きりで体位交換をするとき、彼の手が私の太ももをギュッと掴んできた。その指の力が驚くほど強くて、カサカサの肌がストッキング越しに食い込む感触に、ゾワッとしたのが始まり。

「……してくれ。頼む」

掠れた声でそう言われて、私は断れなかった。 ドアの鍵を閉めて、ベッドの柵を外す。 パジャマを脱がせると、痩せ細った彼の体が剥き出しになる。 おむつを外した瞬間の、蒸れた皮膚の匂い。アンモニアの臭いと、男の体臭が混ざった、鼻をつくような生々しさ。

「……いいですよ」

私は自分の制服を捲り上げて、下着をずらした。 彼の下半身は、もう枯れ果てていると思っていたのに、私の指が触れると、驚くほど正直に、じわじわと脈打ち始めた。 指の先に付く、粘り気のある先走りの液。それが彼の枯れた皮膚を濡らしていく。

「あ、……っ、……」

彼が私の胸に顔を埋めてくる。 入れ歯を外した口の中の、熱くてヌルヌルした粘膜の感触。 それが私の首筋に吸い付くたび、心臓の音が耳元でうるさくなる。 私は彼を跨いで、自分の濡れた場所を、彼の硬いところに押し当てた。

「ぐちゅ……、じゅるっ」

静かな部屋に、粘膜同士が擦れる生々しい音だけが響く。 比喩でもなんでもない。ただの肉と肉がぶつかって、液が溢れて、空気が混ざる音。 彼が腰を突き上げるたびに、私の奥の方まで、彼の形がズリズリと入り込んでくる。 痛いような、でも、内側の壁が全部削り取られるような、激しい摩擦。

「……っ、ああ、……っ、いい、……っ!」

彼はもう、なりふり構わず腰を振っている。 一突きごとに、彼の荒い鼻息が顔にかかる。 汗と、加齢臭と、それから私の中から溢れ出した愛液の混ざった匂いが、部屋中に充満していく。 ぐちょぐちょに濡れた結合部から、白い泡が吹いて、太ももを伝ってシーツに滴り落ちる。

「……出す、出すぞ……っ!」

彼が私の体を強く抱きしめて、全身をガクガクと震わせた瞬間。 中が、一気に熱くなった。 ドクンドクンと脈打つ振動と一緒に、大量の精液が注ぎ込まれるのがわかる。 生温かくて、少し鉄っぽいような、独特の精液の匂い。 それが私の中で溢れて、繋がったままの隙間から、ドロリと外へ漏れ出した。

……終わった後の、あの異様な静けさ。

彼はぐったりと横たわって、口を開けて呼吸している。 私はシーツに広がった、精液と私の液が混じった大きなシミを、無機質なタオルで拭き取った。 指に絡みつく、白くて不透明な糸。 それをゴミ箱に捨てて、乱れた制服を直す。

「……また、明日」

そう言って部屋を出た時、廊下は相変わらず死んだように静まり返っていた。 ナースステーションに戻っても、私の体の中には、まだ彼の精液の熱さが残っている。 歩くたびに、それが少しずつ下着に染み出していく、あの不快で、でも確かな重み。

明日になれば、彼はまた「大人しい利用者さん」に戻る。 でも、私の手のひらには、彼の枯れた肌の感触と、あの濃い精液の匂いが、いつまでもこびりついて離れなかった。

これが、私が深夜の402号室で繰り返している、誰にも言えない本当のこと。