介護ヘルパーとして通っていたあの人に、お願いされた“行為”

私は今、訪問介護の仕事をしている。
資格を取ってからもう4年。
この仕事を始めた理由はシンプルで、「人の役に立ちたかった」から。
でも、現実は想像以上に体力も気力も削られるものだった。

そんな中で、忘れられない“経験”がある。

担当していたのは、68歳の男性。
足腰が弱く、日常生活のほとんどをベッドで過ごしていた。
上半身はある程度自由が利いていたし、受け答えもしっかりしていた。
だから、最初は“普通のおじいちゃん”だと思っていた。

でもある日、いつも通り排泄の処理をしていた時だった。

「……その、お願いがあるんだ」
彼が、ぽつりとそう言った。

「たまってるんだ。……もう、自分じゃできない。
 頼める人が、他にいないんだ」

私は一瞬、意味がわからなかった。
でも、目線を彼の脚のあいだにやったとき、すぐに察した。

ショーツの中で、明らかに勃起していた。
皮膚はシワが寄り、血管が浮いていて、それでも――生々しく“男”だった。

「……私は、そういうことは……」

とっさにそう言ったけど、彼の顔があまりにも切なげで、言葉を失った。

「……せめて、触れてくれるだけでも。
 ずっと、感覚を忘れたくないんだ」

その“お願い”は、たぶん、何度も頭の中で準備されてた言葉だったんだと思う。
私は、戸惑いながらも手袋を外し、彼の肌に直接触れた。

触れた瞬間、彼は小さく声を漏らした。

「……ああ……それだけで、違う」

私の手が動くたびに、彼の体が微かに震える。
その手の中の熱さと硬さが、まるで20代の男のようで、正直、驚いた。

「すごく……気持ちいい」

そう言って目を閉じた彼の顔は、どこか安堵していて、
私はなぜか、罪悪感よりも“人として必要とされてる”ような感覚に包まれていた。

やがて彼は、押し殺すような吐息をもらして、
私の手の中に、熱いものを残した。

白濁が肌に落ちるのを、私は静かにティッシュで拭いながら、
言葉が出てこなかった。

「ありがとう。……ありがとう」

その日から、彼は何も言わなくなったけれど、
帰る前に必ず、目を見て「ありがとう」とだけ言うようになった。

私はそのたびに、黙って頷くことしかできなかった。