セフレの彼が、他の子を抱いた日の夜──私は、彼のゴミ箱でイッた。

鍵は、まだ返してなかった。

彼に呼ばれた夜だけ。
体だけ、求められる夜だけ。
私は“彼女ごっこ”みたいに、笑って抱かれて、
朝には何事もなかったように帰ってくる。

今日は、呼ばれなかった。

なのに、通知オフのままだったSNSに、
“彼が女と歩いてる”ってストーリーが流れてきた。
女の髪は長くて、細くて、隣に寄り添ってた。
私はその画面を、
手が震えるくらい強くスクショしてた。

──おかしいのは、そこからだった。

気づいたら、私は彼の家の前にいた。
夜中の1時。呼ばれてもないのに。
でも、合鍵は……まだ、返してない。

「……電気、消えてる」

帰ったんだ。あの女と。
一緒にシャワー浴びたかも。
ベッド、使ったかも。
……そのあと、きっと、ゴムを──

私は、何も言えない関係。
彼女じゃない。ただの、セフレ。
でも、体の奥は、ずっと“彼だけ”でできてる。

部屋に入ると、
微かに香水と汗の混ざった匂いが、残ってた。

ソファの横に置かれた、小さなゴミ箱。
ふと目をやると、
丸められたティッシュの奥に、
黒いラップみたいなものが見えた。

「……っ、やだ、ほんとに……」

ビニール越しでもわかる。
あれは、ゴムだった。
捨てたばかりみたい。

私は、ゴミ箱を抱きかかえるようにして、
その中に、顔を近づけた。

「うそ……うそ、でしょ……」

嗅いだ瞬間、頭が真っ白になった。
あの、彼の匂い。
使い終わったあとの匂い。
ラテックスと汗と、
たぶん、他の女の体液も混ざってる。

でも……
「私も、これで抱かれてた」って、
全身が思い出してしまった。

制服の中に手を入れて、
ショーツの奥をなぞると、
もう、びちゃびちゃだった。

「どうして……私じゃ、ダメだったの……」

涙がポロポロ落ちて、
でも、指は止められない。

「こんな、汚いのに……、なんで……」

ゴミ箱の中に、顔を埋めたまま、
私は腰を振っていた。

「私の匂いも、混ざってる……」

そう思ったら、
身体の奥がキュゥンと疼いて、
指先が震えて、
「好き……やっぱり、好き……」って、
何度も何度も、心の中で呟きながら──

絶頂した。

声も出なかった。
ただ、息が止まって、
身体がガクガク震えて、
涙とヨダレが混ざって、
ゴミ箱に押しつけた顔が、じっとり濡れていった。

──その夜から、
私は彼の部屋の“ゴミ箱”が、
彼の愛みたいに感じてしまうようになった。

本当は汚いって、わかってる。
でも、
「それでも欲しい」って思わせるのが、愛じゃないなら──
私は、ただの壊れた女なのかな。