陽性だった。
うっすら線が出て、
次の日も同じだった。
三日連続で試して、全部、陽性。
妊娠してる。
あたしのお腹に、命がある。
でも──
その“命の父親”が、
誰なのか、わからない。
最低だよね。
自分でも、そう思ってる。
だけど……泣きながら、笑ってた。
あたし、嬉しかったんだ。
ほんとに、嬉しかった。
誰に抱かれてた時だったかな。
どの精液が、あたしの中に残ったのかな。
あの時も、その時も──全部、思い出せる。
指が喉に届くくらい突かれて、
足が攣ったまま絶頂して、
そのまま中に出された、
背中を反らせた夜。
あれは……三人目の人。
名前、忘れた。
別の日。
風呂場で、鏡の前で、
立ったまま後ろから挿れられて、
お腹に手を添えられながら、
「ここに、俺の子どもできたらいいのに」って囁かれた。
でもその翌週、別の人にも
「生でいいよね?」って聞かれて、
頷いて、出された。
彼のは、細くて、奥に届かなくて、
でもその分、浅いところでいっぱい注がれた。
──順番が、もうわからない。
どの精液が、
あたしの中で勝ったのか。
誰の欲望が、命に変わったのか。
でも、
どの人にされた時も、
ちゃんと濡れてて、
ちゃんと、イってた。
思い出すたびに、
股が、じんって熱くなる。
身体が、覚えてる。
声を殺した夜、
「妊娠してもいいから」って言ってしまった瞬間、
背徳と快感が、ひとつになったあの奥。
「おめでとう」って言ってくれる人は、いないかもしれない。
でも、
あたしの身体は、
誰かの“欲望”に満たされたまま、
命をつくった。
それって、
気持ち悪いことかな。
あたしは、
この命を、
“快楽の結晶”だって思ってる。
名前はまだつけてないけど、
この子ができた夜の記憶は、
全部、膣が覚えてる。
全部、あたしが、
気持ちよかった記憶だから。
──誰の子か、わからない。
でも、それでも。
あたし、
産みたい。