あのティッシュ、たぶん“パパ”のだった──でも、あたしはそれで……

22歳の春、家を出た。

大学3年になって、ようやく一人暮らしが始まった頃だった。

最初の夜、荷解きしてた時に、何の気なしに持ってきてた
“実家の部屋のゴミ箱”をひっくり返した。

ティッシュが、1枚だけ残ってた。
中が、乾いた白でかたまってて、匂いが……した。

一瞬、手を引っ込めた。
でも、その匂い、知ってた。

私がオナニーした後の匂いと、似てた。
──でも、これは、私のじゃない。

たぶん、パパの、だと思った。

気持ち悪いって思った。
けど、身体が反応してた。

あの人が、寝室でなにをしてたのか。
その残りが、私の部屋のゴミ箱に混ざってたのかもしれない。

指が、膣の入り口をなぞってた。
震えながら、ティッシュを持ったまま、ソファに座った。

下着の中が、じんわり湿ってるのがわかった。

「これ、使ってたの……パパ?」

その想像だけで、奥がぎゅってなって、
気づいたら、膣に指が入ってた。

最初は1本だった。
でも、匂いをもう一度嗅いだ瞬間に、
2本、無理やり突っ込んだ。

ティッシュは、顔に押し付けたまま。

「誰かの……でも、あたしの中に……入ってきて……」

涙が出た。
快感なのか、自責なのか、わからなかった。

でも、膣が反応してた。
“誰かの残り”に、安心してる自分がいた。

出してくれた誰かに、感謝したかった。
それが、パパかもしれないって想像して、
その背徳が、あたしの性欲を全部燃やしていった。

1人で、膣の奥でイッた。

声が漏れた。
吐きそうになって、でも、快感だった。

それからしばらく、
私はコンビニのトイレで、捨てられたティッシュを見るたびに、
体がうずくようになった。

誰かの精液が、
誰かの“愛してたかった”っていう形だったらいいのにって、
そんな風に思ってしまう。

最近は、男の人にお願いしてる。
「ティッシュに出して」って。

それを、持ち帰って、
夜、部屋でオナニーする。

「ありがとう。あなたの子、膣で受け取ったからね」

そうやって、
“パパじゃない誰か”に、私の身体を塗り替えていく。

忘れるためじゃない。
生きなおすために──私は、あの日のティッシュを、ずっと覚えてる。