ねえ、あれってレイプだったのかな?って笑えるようになった話

「てか、今だから言うけどさ〜、あたし、一回レイプされたかもってことあってさ」

って、笑いながら言えるようになったの、二年経ってからだった。
言っても誰も信じないくらい、私は明るくて、よく笑って、男子の下ネタにも普通にツッコむ女子だったから。

──ほんとは、ちがったんだけど。

大学1年の夏。
サークルの飲み会、6人だけの宅飲み。
最初は普通に楽しくて、お酒もそんな強くなかったから、私はジュースみたいなチューハイを2本。
でも、3本目の途中から、記憶が変に飛んでる。

目が覚めたとき、私はソファに横向きで寝かされてて、ブラがズレてて、スカートが太ももまでめくれてた。
足、開いてた。パンツ、穿いてなかった。

そして、あの子──私がちょっとだけ気になってた先輩が、隣に座ってた。
「起きた?大丈夫だった?」って言われて、私は笑った。
なぜか。怖くて、意味がわかんなくて、とりあえず“いつもの私”をやるしかなかった。

「え、寝ちゃってた!?やっば、ウケる〜」って。
そう言ったら、先輩は「無理やりとかじゃないよ。気持ちよさそうだったし」って笑った。

──あの瞬間の、心臓がギュッて潰れた感じ。今でも忘れない。
けど私は、「そっかぁ、ならよかった〜笑」って、また演じた。

その後、LINEも普通にやりとりして、何回か飲み会で顔も合わせた。
でも、そっから2ヶ月間、誰ともエッチできなくなった。
男の手が近づくだけで、身体が固まる。
夜中、一人でお風呂入ってるときに、指が自分の肌に触れるだけで、涙が出た。

あのときの“誰かの手”が、自分の身体にしみついてて、
「誰の?」って思い出せないのに、そこだけ感覚が鮮明だった。
指が入ってきた瞬間、私の中が、異物扱いするみたいに冷たくなった。

でも、誰にも言えなかった。
親にも、友達にも、相談とかできなかった。
「自分で飲んだ」「記憶がない」「声も出さなかった」「逃げなかった」──
そう思うたびに、「これってほんとにレイプなの?」って、答えが出せなくなってった。

ただひとつ、確かだったのは。
私は望んでなかった。
私は、あの夜、自分の身体の中から消されたんだってこと。

──でもね。2年経って、ある女友達に、飲みの帰りにぽろっと話したの。

「なんか、そんな感じのことあったかも」って。
そしたら、その子も言った。
「え、あたしもあるよ。まじで。笑」って。

そっから3時間、ファミレスで“笑いながら”話した。
どっちがヤバかったか選手権みたいに、「あたしトイレでやられた」「ホテルのカメラ録画されてたかも」とか、もうネタみたいに。

でもね、そこでやっと、私、泣けたんだ。
「笑ってもいい」って許された気がして。
「信じてくれる人いた」って思えたの、たった一人のその子だったけど、それで全部変わった。

今でも、誰にでも話せるわけじゃない。
でも、こうやって文字にできるようになった私は、あのときよりずっと、ちゃんと“ここにいる”。

ねぇ、もし、これ読んでるあなたが似たような経験してたら。
大丈夫って言えないけど、「あなたは悪くないよ」ってことだけは、私、ちゃんと信じてる。

私も、そう言ってもらいたかったから。

笑って言えるまで、時間はかかるかもしれない。
でも、いつか「ウケるでしょ」って冗談にしても、ほんとの気持ちが消えるわけじゃない。

──けどそれでも、私は、今、笑ってる。ちゃんと、生きてる。

だから、あなたも大丈夫。