「ねぇ、……好きって、どういうことだと思う?」
放課後のトイレ。
誰もいなくなった校舎の、2階の女子トイレ。
その一番奥の個室で、私たちはしゃがみ込んでた。
「好き?」
「……うん。なんかね、最近変なの」
彼女の手が、制服のスカートをぎゅっと握ってた。
私は、ただ黙って横にいた。
彼女の頬が赤いのは、恥ずかしいからだけじゃない気がしてた。
中1の時からずっと一緒。
修学旅行も席替えも、いつも隣だった。
手を繋ぐのも普通で、
家に泊まるのも当たり前で。
でも──
高2になったころから、
彼女が他の子と仲良くしてるのを見て、
私の胸がきゅうって痛くなるようになった。
「ねぇ……キスってさ、女同士でもできるのかな?」
唐突に言われて、
私は息が止まりそうになった。
「えっ、なに、どういう意味……?」
「だって……〇〇のこと、見てると……ドキドキするんだもん」
心臓が一瞬で跳ねた。
「……ダメだよ、そんなの」
そう言いながら、私の指は、
彼女の手をぎゅっと握り返していた。
彼女の唇が、近づいてきた。
もう、止められなかった。
制服のまま、個室の中で──
私たちは、初めてキスをした。
柔らかくて、震えてて、
でも、あたたかかった。
「……ごめん、でも……止まんない……」
彼女が私の太ももを撫でたとき、
私は目を閉じて、そのまま身を預けた。
スカートの中に手が入ってくる。
タイツ越しに、下着の上をなぞられる。
「や……っ、だめ……」
口ではそう言いながら、
身体は、ビクッて跳ねた。
「濡れてる……」
彼女が、小さな声で囁いた。
「嘘……見ないで……」
でも、見られたい。
触れてほしい。
この気持ちを、止めたくない。
ショーツをずらされて、指先があたる。
最初は優しく、ゆっくり撫でるように。
でも、だんだん早くなって、
私は、声を出すのを必死でこらえていた。
「ん……っ、はぁっ……やだ……」
「〇〇の声、……可愛い」
その言葉で、頭の中が真っ白になった。
「イキそう……っ、イっちゃう……!」
個室の中で、くちゅくちゅと水音が響く。
制服の胸元を握りしめながら、
私は、彼女の指の中で、絶頂した。
終わったあと、私たちはしばらく黙ってた。
誰もいないトイレの中で、手を繋いだまま。
「これって……もう、親友じゃいられないよね」
「うん……でも、私は……〇〇が好き」
涙が出た。
この気持ちは、“間違い”かもしれない。
でも、
今日だけは、私たちは確かに“ひとつ”だった。
放課後のトイレで交わしたキスと指先の記憶。
誰にも言えないまま、
私は今も、
彼女の笑顔を見るたび──
あの時の感触を、思い出してしまう。