大学の課題で徹夜になり、
朝方になって限界が来た俺は、沙織の家のソファでうたた寝していた。
沙織とはただの友達。
同じゼミで気が合って、たまに家に泊まりに行くくらいの関係。
目が覚めたとき、何となく空気が違っていた。
枕の位置が少しズレてる。
俺のTシャツの裾が、なぜか少し上がっている。
靴下も、脱がされたのかズレていて、右足の甲が外に出ていた。
「……寝返り、打ったのかな?」
そう思いかけたところで、
ダイニングの机の上に置きっぱなしになっていた沙織のスマホに、
LINEの通知が1件、ポップアップ表示で浮かび上がった。
「今日もいい匂いだった。Tシャツの中、やばかった。次は直接脇の匂い嗅ぎたいな」
……まさかと思った。
そのあと、トイレに立ったとき、
洗面所のごみ箱に丸めて捨てられていたティッシュの山と、
中に紛れていた俺の着ていたTシャツのタグ。
着替えを用意されていたのは、
“俺が寝ている間に脱がされていた”からだとようやく気づいた。
思い出す。
昨夜、シャワーを浴びなかったこと。
蒸れた脇の奥、腹のライン、足の指の間……
女の子に嗅がれることを前提にしていなかった匂いが、
まさかあの子の自慰の材料になっていたなんて。
そのあと、何も言えないまま一度家に帰った俺の元に、
沙織から1通だけLINEが来た。
「……気づいた? 気づかれた方が、興奮するタイプでしょ」