会社の飲み会のあと、終電を逃した俺は、職場の先輩・沙織さんの家に泊めてもらうことになった。
普段から面倒見がよくて、だけどサバサバした人。
“ちょっと年上のお姉さん”くらいに思っていたはずだった。
でも──その夜、彼女はちょっと違った。
部屋着に着替えた沙織さんが、リビングのソファに腰を下ろして、
ふいに、ぽつりとこう言った。
「……あのさ、ちょっと頼んでいい?」
「はい?」
「タンポン……抜いてほしいんだよね」
思考が一瞬止まった。
「……生理、2日目なんだけどさ。もう、奥までずれちゃってて……
自分じゃうまく取れないの。ほら、手短いから」
冗談、だと思った。
けど、沙織さんの表情は真剣だった。
「私、変なこと頼んでるのわかってるよ。でも……信頼してるから」
数分後、俺は彼女の寝室にいた。
薄暗い間接照明の中、彼女はベッドの上で静かに脚を開いていた。
「指……清潔にしてきてくれる?」
言われた通り手を洗い、戻ってきた俺に、彼女はゆっくりとショーツをずらした。
クロッチ部分には、赤黒い滲みが広がっていた。
彼女の指示に従って指を差し入れると、中は温かくて、ぬるっとしていて──
指先に、綿の感触が触れた。
「それ、それ……引っ張って」
慎重に、けれども確実に引き抜く。
じゅるっ……という湿った音とともに、血の染み込んだタンポンが抜けてくる。
それを手にした瞬間、空気が変わった。
匂いは、生々しくて。
少し鉄っぽくて、でも……なぜか、いやらしい。
「見せないでね」
沙織さんがそう言ったけど、俺は一瞬だけ、そのタンポンを見てしまった。
濡れて、膨らんで、彼女の中の熱を吸い込んだ証。
それを無言でティッシュに包むと、彼女はそっと目を閉じた。
「ごめんね、変なこと頼んで……でも、なんか……不思議な感じだった。
……中、触られてるのに、痛くなかったし。むしろ……ちょっと、気持ちよかったかも」
その言葉を最後に、沙織さんは黙った。
俺もそれ以上、何も言えなかった。
けれど翌朝、バスルームのゴミ箱に、昨夜のタンポンとは別のものが入っていた。
袋に入っていない、生のままのタンポンが──
まるで「次もお願いね」と言うように。