「濡れた声、乾かない指

彼の部屋に入った瞬間、なんか、こう──乾いた柔軟剤の匂いと、熱のこもった男の生活の匂いが、ぶわって鼻の奥に残って、頭の中がぼーっとした。
カーペットに落ちてた靴下、洗濯機に入りきらなかったみたいで、それすらなんか、見たくなかったのに……気になって、指でつまんで嗅いでた。

あたし、ほんとに最低。

彼女がいるってわかってた。
今日だって、デートの帰りに会う約束してたって、自分から聞いたのに。
でも──ねえ、私のこの匂い、あの子より好きだって言ったじゃん……。

「やば……濡れてる、もう?」

って笑われて、太ももに当たった手のひらがあったかくて、そこで一気に力が抜けた。
触られてないのに、ショーツの中までじんわりしてきて……ほら、もうわかんない。

……ねぇ、だめだって言って。
そう言ってくれたら、まだ止まれたのに。

カウチに座ったまま、脚を開いて、彼の手を受け入れた。
指、入ってないのに、もう声が漏れてた。
だって、さっきまであたしが穿いてたショーツ、まだ彼の指に絡まってて、その匂い……あたしの……鼻の奥で、奥で、鳴ってて。

ううん……匂いじゃない、記憶、なのかも。
あたしが、自分で濡れて、自分で開いたって記憶。
それが、彼の指から伝わってきて、もう、勝手に震えてた。
勝手に、擦りつけてた。

「いい匂いするよ、マジで。……変態すぎて、好き。」

って言葉が、喉の奥をじんじんさせる。
中で脈打ってるの、聞こえてた。
指が、唇より先に入ってくる……その瞬間の、押し広げられる圧と、ヌル、って粘る音……。

……もう、何回いったか覚えてない。
終わったあと、彼の太ももに顔を伏せたら、皮膚の匂いがまだ熱を持ってて、指先が動いてた。勝手に。

ダメなのに。
終わらないのに。
身体の中が、「まだ」って言ってる。

私、ほんとに……変態すぎるくらい、嬉しかった。

──ねぇ、今度は……あたしの部屋で、して?
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