彼は私を押し倒さなかった。それはいつものこと。彼と私の間の、暗黙の、でも最も刺激的なルールだ。
ベッドの端に座って、「葵、こっち来て」って静かに言った。命令じゃなくて、お願いでもなくて、ただ「お前はもう逃げられない、そうしたいんだろ」って確信してる声。その自信が、私を一番ゾクゾクさせる。
私は彼の前に立って、見下ろす。制服のタイトスカートを脱ぎ捨てて、黒いストッキングの足元が、彼の視線を挑発するように動く。「どうしてほしいの?早く教えてよ」挑発的に尋ねると、「わかってるくせに」彼がそう言いながら、私の腰に手を回す。引き寄せられて、彼の膝の上に跨る形になる。密着した瞬間、彼の硬くなってるのが、ストッキング越しに私の太ももの内側に食い込む。「もう、こんなに…私を待ってたの?」と囁くと、「お前がそういう目で見るから、もう限界なんだ」と返ってきた。
私は彼の首筋に鼻を近づける。汗と、少し疲れた彼の男の匂い。それが妙に興奮を掻き立てる。首筋の脈打つ場所に舌を這わせると、彼の体がビクッと小さく震える。その反応がたまらなくて、私は彼のシャツのボタンを、ゆっくり一つずつ外していく。焦らすように。ボタンの硬い感触と、その下の熱い肌。彼の視線は、私の唇と、胸元に釘付けになっているのがわかる。「葵…もう我慢できない」と呻く彼に、「待って。今日は私が主導権を握るの。私のペースでやるから」と冷たく言い放つ。
シャツを脱がせて、むき出しになった筋肉質の胸板に手を這わせる。筋肉の硬さと、その下で規則正しく動く心臓の音。私は彼の乳首に指を這わせる。強く摘み上げると、彼の息が「ひっ」と止まる。「男でも、ここ感じるの?」と意地悪く聞くと、「…お前が、そんな顔で、俺を支配しようとすると、何もかもが刺激になる」と声が掠れる。それが嬉しくて、もっと焦らしたくなる。
舌で彼の胸板を舐めながら、もう片方の手で彼のズボンの上から、硬くなっているものを鷲掴みにする。脈打つ熱が、私の手のひらに伝わる。「我慢できる?」と耳元で囁くと、「…わからない。お前が俺を壊しそうだ」と正直な答えが返ってきた。
私はズボンのファスナーを下ろして、中に手を入れる。ボクサーパンツ越しに握ると、彼の腰が浮き上がり、膝の上で私の体を密着させる。「葵…直接…もう、優しくしないで」と懇願する彼に、「まだ」と一言で切り捨てる。私は焦らしながら、布の上から撫でる。先端が濡れてきて、ボクサーパンツの布地に、愛の染みが広がっているのがわかる。
ボクサーパンツを下ろして、露わになった、熱く脈打つものを、私の両手で包み込む。親指で亀頭を撫でると、彼の息が荒くなる。「気持ちいい?この熱、私だけのもの?」私は顔を近づけて、匂いを嗅ぐ。男の匂い。少しツンとするけど、嫌いじゃない。舌を這わせると、彼の体が大きく震える。裏筋をゆっくり舐め上げて、亀頭を口に含む。彼の喉から、低く、苦しそうな呻きが漏れる。「葵…そんなことされたら、もう…抑えられない…」その言葉に、私は口を離して彼を見上げる。「イっちゃう?でも、まだダメ。私が満足するまで、我慢して」彼が苦しそうに、でも愛しそうに笑う。「お前、今日は本当にSだな。俺は、お前の手のひらで転がされるのが、たまらなく好きだ」
私は立ち上がって、彼の目の前で服を脱ぐ。ゆっくり、一枚ずつ。彼の視線が私の体を追ってくる。その視線だけで、興奮して、体が熱くなる。下着だけになって、彼の前に立つ。「触りたい?」と挑発すると、「…ああ、もう限界だ。触らせて」と、彼が初めて弱音を吐いた。「いい子」私は彼の手を取って、自分のブラを外させ、解放された胸に当てる。彼の手が、私の体を貪るように撫でる。ブラのホックを外してもらって、胸を露わにする。彼が乳首に口をつけてきて、舌で転がす。
「んっ…」声が出そうになるのを、唇を噛んで堪える。私が主導権を握ってるのに、感じすぎたら負けな気がする。でも、彼の舌が執拗に乳首を舐めてきて、その感覚が脳天を貫き、だんだん堪えられなくなる。「もう…いい。許してあげる」私は彼を押し倒して、ショーツを脱ぎ捨て、露わになった彼のものに、自分の体を合わせる。熱くて、硬くて、脈打つものが、ゆっくりと、私の奥深くまで入ってくる。
「あっ…!」声が漏れる。彼が私の腰を掴んで、さらに深く、根元まで押し込んでくる。「葵…動いてくれ。もう待てない」と命令が混じる。「わかってる」私は腰を動かし始める。最初はゆっくり、彼の快感を確かめるように。でもだんだん激しくなる。彼の手が私の胸を揉んで、乳首を弄ってくる。「そこ…触らないで…私が、主導権を握ってるんだから…」抗議しても、彼の動きは止まらない。彼は私の腰を掴んで、自分のペースで突き上げてくる。主導権を奪い返そうとする彼の動きに、私の理性は崩壊していく。「葵…イきそう…」彼の声が、私の耳元で、甘く響く。「私も…もう、ダメ…」
最後、二人同時に達して、私は彼の胸に、すべての力を失って倒れ込んだ。荒い呼吸を整えながら、彼の心臓の、激しい音を聞く。「…結局、最後は負けたな」彼がそう言って笑う。「次は負けない」私がそう答えると、彼が私を強く抱きしめた。「次も、お前の支配を楽しみにしてるよ」